数ある革靴デザインの中でも、“革靴の上品さ”と“普段履きとしての気軽さ”のバランス感が抜群にいいのは、やはり「Uチップ」でしょう。
装飾が無い……訳ではないけれど、華やかというほどでもない。
カジュアル……なんだけど、ビジネスシーンでもギリギリ履けるぐらいのドレス感はある。
器用貧乏。そんな風に表現することもできるでしょう。
しかし、このどっちつかずの印象が、すごく丁度いいのです。
今回の記事では、そんな特徴があるUチップにフォーカスして、基本知識やおすすめモデルを解説・紹介していきます。
「革靴だけど、冠婚葬祭で履ける?」
「おすすめモデルとかって、あるの・・・?」
などなどの疑問をお持ちの方のお手伝いができれば、幸いです。
Uチップとは?
まず初めに、Uチップの基礎知識について解説していきます。
▽90秒で簡単にまとめた動画も作りましたので、よろしければご覧ください。
つま先に「U字」の装飾がある革靴の総称
「Uチップ」とは、つま先部分にU字の装飾がある革靴の総称です。
名称のバリエーションが非常に多く、「エプロン・フロント」や「ノルウィージャン」「モカシン」などなど、国やメーカー・ブランド毎に様々な呼ばれ方をしています。
中にはU字の部分が角ばっているタイプ(店舗・ブランドによってはVチップと呼ぶ)も存在しますが、それも同じUチップとして扱われています。
ビジネスとカジュアルで活躍する、絶妙な装飾加減
ご覧の通り、Uチップは「プレーントゥ」と呼ばれる革靴ほどシンプルでもなければ、「ウィングチップ」と呼ばれる革靴ほど華やかでもありません。
しかし、だからこそ
- 堅苦し過ぎない
- 力を抜きすぎない
- 派手過ぎない
という三拍子が揃った絶妙なファッションアイテムとして、活躍してくれるのです。
ビジネスシーンではジャケパンなど、ビジネスカジュアルなスタイルと相性抜群。一方のカジュアルでは、足元に合わせるだけでも「お洒落に気を使っている」感が演出できます。
起源は、狩猟やゴルフで愛用されたカントリーシューズ
Uチップは、今でこそドレスシューズの1つとして活躍していますが、その起源はカントリーシューズにあると言われています。
カントリーシューズ。つまり“田舎道を歩くのに適した靴”というワケです。
流通しているUチップの多くが、ガッシリ・タフなシルエットで仕立てられているのは、こういった背景もあるからなんですね。
ちなみに、フランスでは狩猟靴として。アメリカではゴルフシューズとして。各国独自の愛用の形があり、今に至っています。
足にフィットしやすい外羽根がスタンダード
「Uチップ」という名称は、厳密にはつま先のデザインを指す言葉です。
昨今、Uチップのスタンダードとして広く親しまれているのは「外羽根Uチップ」と呼ぶべきモデル。
Uチップのつま先に、「外羽根」の足の甲デザインが組み合わさったものなんですね。
そのため、Uチップには外羽根以外にも「内羽根」や「モンクストラップ」「ローファー」といった様々な足の甲デザインと組み合わされたものがあります。
Uチップのスタンダード、外羽根Uチップ
Uチップと外羽根の組み合わせ。Uチップとしては一番スタンダードなタイプといえます。
外羽根は元々軍用靴のために開発・採用されたといわれており、幅広い足の形にフィットしやすいという特徴があります。
1番フォーマルな、内羽根Uチップ
Uチップと内羽根の組み合わせ。Uチップの中では1番フォーマル度が高いタイプです。
内羽根は、イギリスのバルモラル城で開発・愛用されていた宮廷靴にルーツがありますフォーマル度が高いのはこの歴史的背景も関係しています。
フォーマル度が高い一方で、許容できる足の高さに限界があるため、足の甲が高いタイプの人が着用すると「紐を緩めても痛い…」といった自体が起こりえます。
なかなか見かけないレア、モンクストラップUチップ
Uチップとモンクストラップの組み合わせ。あまり見かけないレアタイプです。
モンクストラップは、その名の通りモンク(修道士)が着用していた靴にルーツがあり、紐の代わりにベルト&バックルで締まりを調節します。
バックルは金属素材であることが多く、そのため、金属パーツが他の組み合わせには無いエレガントな印象を引き立ててくれます。
ローファーとして御馴染み、ローファーUチップ
ローファーとして定番である″この(↓)モデル”も、Uチップの1つと言えます。
靴ひもを解かずとも脱ぎ履きできるラクさは、やはり代えがたいもの。ただし、その分靴ひもを締めてサイズの違いをカバーすることもできないので、靴を購入するときは、他のタイプより一層サイズ感にこだわりたいところではあります。
おすすめ外羽根Uチップ10選
さて、Uチップの基礎知識をおさえたところで、おすすめのUチップモデルを紹介します。
今回はスタンダードな外羽根Uチップを全部で10モデル、集めてみました。
実際に購入するときの参考にしてもらえれば幸いです。
※掲載している価格などの情報は、2023年12月時点でのものとなります。
– 価格 – 49,940円 |
– 価格 – 39,820円 |
– 価格 – 99,000円 |
– 価格 – 34,100円 |
– 価格 – 6,600円 |
– 価格 – 28,050円 |
– 価格 – 41,800円 |
– 価格 – 33,000円 |
– 価格 – 28,600円 |
– 価格 – 96,800円 |
– 価格 – 10,780円 |
– 価格 – 4,378円 |
– ブランド名 – 大塚製靴 |
– ブランド名 – 大塚製靴 |
– ブランド名 – 大塚製靴 |
– ブランド名 – リーガル |
– ブランド名 – テクシー・リュクス |
– ブランド名 – クレマン |
– ブランド名 – ジャランスリウァヤ |
– ブランド名 – バーウィック |
– ブランド名 – リーガル・ウォーカー |
– ブランド名 – パラブーツ |
– ブランド名 – ハイドロテック |
– ブランド名 – タケゾー |
明治5年創業「大塚製靴」謹製。日本人の足にフィットするUチップ
日本人の足を150年以上も追及してきたノウハウを活かし、日本男児用の立体構造で足をホールドしてくれる一足に仕上げています。
インソールにコルク材を使用することで、最終的に1人1人に応じた形に変形するフィッティングも魅力と言えます。
「あってよかった」サッと履けてキチっと見えるクラシックローファー
ローファータイプなのでもちろん着脱はスムーズ。
忙しい朝やちょっとそこまで出かける時に、サッと履けてキチっと見える「あってよかった」と思える1品です。
日本最古の紳士靴店「大塚製靴」の最上級ライン。
熟練職人だけが成せる独自の手染め手法によって生み出される、濃淡ある表情…が魅力なのはもちろんですが、注目したいのはその“履き心地”。
こちらは「履き初めから痛くない」革靴に仕上がっています。
その秘訣は、この度新たに開発された「150年ラスト」にあります。
革靴tips:「ラスト」とは革靴を作る際の木型のこと。靴の造形・履き心地を大きく左右する、いわば骨格。靴メーカーの宝。
150年もの間“日本人の足を研究し続けてきた膨大なデータから生まれた150年ラスト、ぜひ体感してみてください。
日本製革靴の王道が仕立てる、Uチップ
デイリーユースに適したカジュアルな表情に仕上がっています。
もちろんビジネスとの相性も◎。
ダイナイトソールを採用し、雨の日でも安心して履ける仕様になっています。
革靴の見た目×スニーカーの履き心地で仕上げた、お手軽価格のUチップ
革靴の外見とスニーカーのソールを合体させた、いわゆる“革靴スニーカー”なので、非常に快適な履き心地に仕上がっています。
ワークブーツブランドの、ドレスライクなUチップ
つま先に丸みを持たせることで、上品な(ドレッシーな)印象のカジュアルシューズとして仕上げているため、普段履きとして最適です。
ミリタリースペック基準をクリアした堅牢なクオリティながら、比較的リーズナブルな価格にまとまった一足。
ちょっとこだわった一足が欲しいときにオススメです。
ハンドメイド仕立ての本格革靴Uチップ
昨今の革靴のほとんどが機械を利用したマシンメイドで生産されている中で、ジャランスリウァヤは今も伝統的なハンドメイドを採用しています。
ハンドメイド特有の柔らかい履き心地を、4万円代で手に入れられるのは破格といえます。
職人の手仕事にこだわりがある型にはオススメといえますね。
オンオフ活躍するUチップのスエードモデル
スエードレザーを採用することで、大人らしいカジュアルな印象に仕上がっています。
マットな生地感で、休日のコーデを上品に飾りたい方にオススメです。
歩きやすさにフォーカスした、Uチップのウォーカーエディション
ソールのクッション材を追加するだけでなく、履き口周りにもクッションを仕込むことで、足が痛くならないように配慮されています。
登山靴にも採用される手法で堅牢性を上げた、フランスのUチップ
本来のカントリーブーツらしさ満載で、ガッシリとした外見が特徴です。
ソールは、パラブーツ自身が製造しているオリジナルラバーソールを採用しています。
歩きやすさと耐雨性を高めた一足
雨天の通勤でも安心できる防水性や防滑性は勿論、防臭性や衝撃吸収システムなどを採用することで、普段の歩きも徹底的にケアしています。
靴としては手ごろな価格帯なので、筆者・玄木も、新社会人のころはよくお世話になっていたブランドです。
深さ3cmの水たまりに6時間耐えられる、雨の日の頼もしいお供
防水性だけでなく、防滑性や防臭性もカバーするなど、とにかく雨天の足元をケアしてくれる一足。アッパー(足の甲を包む部分)は合成皮革なので、革靴クリームの塗り直しも不要。
価格もかなりお手軽に設定されているため、雨の日の懐刀としていかがでしょうか。
あとがき
以上、革靴デザインの1つ「Uチップ」の基本知識とおすすめモデルを紹介・解説しました。
参考になりましたでしょうか?
普段履きとして革靴をチョイスすると、「どうしても、何か堅苦しくなってしまう」というキッチリ感の行き過ぎが起きてしまうもの。
そんなときに、実に丁度いいドレス感があるUチップなら、他の革靴デザインだとしっくりこないシチュエーションにバッチリハマってくれるのではないでしょうか。
以上、『明治生まれの靴博士』編集部の玄木がお送りしました。
ではでは。
明治5年から150年近く“日本人の足のための靴づくり”を続けてきた、日本最古の紳士靴ブランド『大塚製靴』。