おしゃれ初心者から上級者まで、幅広い層から絶大な支持を集めるスニーカーといえば、まず間違いなく候補として
「スタンスミス」の名があがるでしょう。
“世界一売れたスニーカー”という箔を持ち、「おしゃれを意識するなら、まずスタンスミスを購入せよ」と言われるぐらい使いやすいアイテムである名作スニーカーです。
知らない。
聞いたことない。
見たこともない……という人は、そうそういない。それほど知名度のあるスニーカーですが、実は2020年12月から大きなムーブメントが起きていることをご存知ですか?
今回は、名作スニーカー「スタンスミス」に焦点を当てまして、スタンスミスの基本知識から最近の出来事、おすすめモデルなどを紹介・解説していきたいと思います。
「スタンスミスについて、詳しく調べてみたい」
「素材が大きく変わるみたいな話を聞くけど、何が起きたの?」
そんな疑問をお持ちの方のお手伝いができれば幸いです。
天然皮革の名作!
“世界一売れたスニーカー”としてギネス認定された、スタンスミスのプレミアムモデルです。
2020年末のサスティナブル宣言以降、「もう、天然皮革は変えないのか……」と寂しく思っていたところに、天然皮革モデルとしての復活。欲を言えば、以前と同じ価格が理想でしたが、昨今の情勢を考えると、あまり無理を言うのもメーカーさんが気の毒というもの。
また、かかとやソール側面のブランドロゴが排されているなど、全体的にシンプルにデザインされているのも特徴です。
素 材:天然皮革
価 格:15,000~26,000円
改めて、スタンスミスとは?
まずはスタンスミスの基本知識のおさらいです。
いかんせん知名度のあるスニーカーですので、読み飛ばして頂いても大丈夫。
詳しくない方は勿論、改めて見直してみたい方は是非、ご一読くださいませ!
スミスさんの顔がプリントされた、“世界一売れた”白スニーカー
「スタンスミス」とは、1971年に登場した白スニーカーのこと。
通算100勝を達成したアメリカのプロテニス選手、スタンレー・ロジャー・スミス氏が愛用したことから、彼の名前をとってスタンスミスと名付けられました。
1971年からずっと販売し続けていたワケではなく、1912年に一度生産終了し、その後復活。
復活後はノームコア(“極めて普通な装い”にファッションの価値を見出す視点)の影響もあってか、1991年の段階で2000万足を越える販売数に到達し、「世界一売れたスニーカー」としてギネス認定されました。
使い勝手抜群な、スリム&シンプルなカジュアルデザイン
かつてはプロテニス選手の足元を任されるテニスシューズとして機能性に注目されていたスタンスミスも、現在は、すっかりファッションアイテムの仲間入りを果たしました。
そして、スタンスミスをファッションの軸で語る際に“ほぼ必ず”話題にあがるのが、その「丁度よさ」。
堅苦し過ぎない。でも、カジュアル(子供っぽい)過ぎるワケでもない。。。という、ドレスとカジュアルの間におしゃれを見出すファッションにとって、本当に丁度いい存在なんです。
カジュアルコーデの足元を任せるのは勿論のこと、ジャケパンなどの“ビジカジスタイル”とも合わせやすいのは、本当に大助かりです。
実は「ハイレット」という原型(元ネタ)がある
絶大なネームバリューと人気を誇る「スタンスミス」ですが、実は原型(元ネタ)があります。
その名も「ハイレット」。
1964年に、フランスのプロテニス選手、ロバート・ハイレット氏のためにアディダス開発したスニーカーです。
上の写真(↑)を見て頂ければわかるように、ディティールに違い(スミス氏の肖像画がない etc.)はあれど、デザインは“ほぼスタンスミス”。
実はスタンスミスは、スタンスミス氏のために0から開発されたスニーカーではありません。
「ハイレット氏のために開発されたスニーカー」をスミス氏が気に入って愛用したため、ハイレット氏が引退した後に、デザインを整えてスタンスミスと命名されたという歴史的な流れなのです。
サスティナブル宣言!これからはエコな合成レザーがスタンダードに。
さて、ここからは最近のスタンスミス(というよりアディダス全体)を取り巻く、サスティナブル的な(再生エネルギー的な)ムーブメントについてです。
天然皮革版は生産終了。これからはリサイクル版がスタンスミスの主流に。
現在、アディダスは「プラスチックによる環境汚染問題」や「二酸化炭素排出量削減」に対する企業全体の取り組みとして、2024年までに、すべての商品にリサイクル素材を100%使用する体制にするムーブメントを進めています。
勿論、スタンスミスも例外ではありません。
2020年12月から「リサイクル版スタンスミス」の販売が始まり、現在(2021年8月時点)では、公式通販サイトに並ぶスタンスミスの“ほぼ全て”がリサイクル素材を使用したものになっています。amazonや楽天だと、これまでの天然皮革のモデルが流通していることもありますね。
・・・と思いきや、2022年4月に天然皮革を使用したプレミアム版スタンスミスが再登場。
ブランドのスタンスはどうした!!スタンスミスだけに ^_^ と声を上げたいところですが、まだ2024年までにリサイクル素材100%を目指すワケですから、別に嘘を言っているワケでもなく、何より、天然皮革が一時的にでも復活して嬉しいですしね。
リサイクル版スタンスミスの評価は、可もなく不可もなく、様子見。
多方面から賛否両論な声を集める、アディダスのサスティナブルムーブメントについては、さて置くとして、気になるのは「リサイクル版スタンスミス」の評価でしょう。
ある意味歴史的な転換点でもあるため、多くのスニーカーフリークが各所で意見・感想・コメントを発信しているのですが、ざっくりまとめた感じだと——
- 再生素材にありがちな「ブツブツ感(溶け切ってない小麦粉みたいなアレ)」は無い。パッと見の違いは、ほぼ分からない。
- シルエットについては、ちょっとボリューム感がある……気もする。
- 履き心地については、普通(そもそも、スタンスミスに履き心地を求めている人は少ない)
- 今は満足だけど、合成レザーの「経年変化しにくい特性」に対して、不満が溜まっていくのではないか心配
という具合。
良くも悪くも「様子見」と言った声が多かった印象です。かく言う私もスタンスミス所持者ですが、正直な気持ちとして「天然皮革版を買っていて良かった」という安堵の思いはやっぱりあります。大切にしなきゃ……
スタンスミスの基本モデル4種+スタンスミスっぽい天然皮革スニーカー5種
ここからは、現在公式サイトで展開されている「スタンスミスの基本モデル4種」に加えて、「天然皮革を採用したスタンスミスみたいなスニーカー5種」を紹介していきます。
実際に購入するときの参考にしてもらえれば幸いです。
※各商品の参考価格は、2023年12月時点のものです。予めご了承くださいませ。
個性色々、王道から個性派までピックアップしたスタンスミス4選
【……あれ? 本革モデル?】プレミアム版として復活した、リアルレザー製スタンスミス
2022年4月にリリースされた、天然皮革を採用したスタンスミスです。
2022年7月時点で、一番高級なスタンスミスになります。
踵のアディダスロゴや、ソール側面のブランドネームがなく非常にシンプル。ちょっとブ厚めなソールもあって、原型であるハイレットに近い印象を受けますね。
履き込むほどエイジングと共に、自分の足の形に馴染んでくるリアルレザースニーカーらしさがカムバックしています。
サスティナブル宣言は何だったんですかね?と小言と言いたい気持ちはありますが、昨今、天然皮革素材の原価とか大変なことになっているらしいので、まぁ仕方ないよなと、そういう気持ちで過ごしております。
▼紹介したスタンスミスのレビュー
80年代スタンスミスに近いモデル
5.0
ソールと中敷きが今までのモデルよりも柔らかいので
クッション製が上がってます。
アッパーに内張がなく、中敷きもレザーなので足に馴染みやすそうです。引用元:公式通販サイト
オールレザーで履き心地まろやかでした。
5.0
現在販売されているStan Smithよりも柔らかく包み込んでくれるような感覚でした。
もしまたオールレザーのStan Smithが発売去れれば買いたいです。引用元:公式通販サイト
【上級者みたいな“こなれ感”】オフホワイトカラーのスタンスミス
合成皮革モデルではありますが、非常にこなれ感があるのが特徴。
履く前に一度汚すのが通みたいに言われることもあるスニーカー界隈にとっては非常に使い勝手のいいカラーと言えます。
【割とボリューミー】元々はABCマートのみで展開(多分)リーズナブル版スタンスミス
スペックや価格を考えると、いわゆる“リーズナブル版”という立ち位置になる筈なのですが、細かいデザイン違いが増えてきたり、天然皮革モデルがプレミアムに格上げになったことを考えると、このスタンスミスこそが「スタンダードモデル」と呼ばれるべきなのかもしれないですね。
【かかとのロゴをスラッシュ!】ちょっぴり個性的なスタンスミス
また、ブラックとホワイトに加えて、ピンクグレーとブルーグレーという珍しいカラーバリエーションが揃っているのも特徴。
ほんのちょっぴり違うスタンスミスを探している人は、是非チェックしてみてくださいね。
スタンスミス……っぽい天然皮革スニーカー5選
『スタンスミス好きなんだけど、サスティナブル宣言しちゃったかなぁ~』という方の選択肢候補として是非ぜひご活用下さいませ。
「シャツとジャケットに合わせる」ことを掲げて生み出された白スニーカー
スタンスミス系のローカットスニーカーで、アウトソールの黄色い意匠以外は、本当に真っ白。パンチング装飾もなく、オフィカジスタイルや緩めのビジカジスタイルと相性◎な一足です。
スタンスミス以上にシンプル&ドレッシーを極めた、大人の白スニーカー
スタンスミス系のローカットスニーカーですが、側面のパンチング装飾が無い分だけ、よりシンプル&よりドレッシーに仕上がっていますね。
インソールに採用されたOrtholite®や、アウトソールに採用されたEVAクッションなどなど、シンプルなデザインに履き心地の良さを詰め込んだ一足と言えます。
▼紹介したスニーカーのレビュー
軽くて幅広で質感良し
5.0
軽くて幅広で質感も形も良い。言うことなしです。私は3E足ですが、スタンスミスより0.5cm下げてちょうどです。
普通の細い足幅の人なら大きめに感じるかもしれません。クラークス全般に言えることですが…引用元:amazon
ビジカジに良いかな
5.0
24.5cmタンレザーを購入。甲高、幅広の足で普段スニーカーは24.5cm、革靴は24cmを履いていますがピッタリでした。
職場によってどれぐらいのカジュアルが許容されるかは違うと思いますが、ナイキなどのスポーツブランドのスニーカーほどカジュアルではないのでビジカジに良いのではないでしょうか。引用元:amazon
アッパー部分に天然皮革をタップリ採用した、「コンバース」のメイドインジャパンモデル
細くてロウ引きのシューレース。通常のコンバースよりも6ミリ高く調整されたソール。ライニングに採用した、しなやかなピッグスキンなどなど、全体的に革靴のようなクオリティに仕上げられています。
「コンバースのオールスターに履き心地を求める奴なんていない」というのが大多数と思いますが(ちょっと偏見かもしれませんが)、非常に快適な履き心地に仕上がっているのが特徴です。
イタリア製のラグジュアリー・白スニーカー
写真の通り、とにかくシンプルなデザインが特徴。
使い込むうちに徐々に日焼けしていきますが、その過程も、日焼けして“くたっ”とした姿も、こなれ感につながり格好いいですよ。
高級感あるスタンスミス系の天然皮革スニーカーを探している方は、是非チェックしてみてくださいね
▼紹介したスタンスミスのレビュー
高級感あり
5.0
44000円(税込)のSM51と、25200円(税込)のTSL20のどちらにするか悩みましたが、あとあと悔やまないように思い切ってこちらを選びました。柔らかなカーフの履き心地は最高で、1枚革の羽止めも高級感あって良いです。
サイズは悩みました。
普段革靴は26cmでジャストフィット、26.5だと馴染むと緩め、EU7.5だときつくて8.0で微妙、楽に履くなら8.5です。スニーカーは27cmだとややきつく、長距離ウォーキング用のアシックスは28.0cm、EU44です。
そこで、27.5cm辺りを狙いましたが、サイトによりSM51の日本サイズ換算が異なっており、かなり悩ましかったです。ただ、スニーカーはキツいと捨てるハメになる一方、緩めでも紐を締めれば大丈夫なので、42ではなく43にしました。やや余裕がある気はしますが、夕方以降に履くとピッタリだったりしますので、43で正解だったと思います。
良い買い物をしました。永らく愛用すると思います。引用元:楽天市場
スタンスミス味のある白スニーカー
本家スタンスミスのソールがフラットなのに対して、こちらは“いわゆる一般的な形”。そのため、意外とこれはこれで印象が全然違います。
ちなみにリーガルのエコレザーは、環境負荷の少ない生産方法や薬品をもって鞣したレザーのことなので、本家スタンスミスが合成皮革のみを使っていく方針に舵取りした今日、天然皮革製のスタンスミスっぽい靴の選択肢となっています。
【オマケ】靴ひもの結び方・通し方にもこだわってみよう
最後にオマケとして、シューレース(靴ひも)の通し方をご紹介します。
「結び方ぐらい……」と思われるやもしれませんが、シューレースの通し方で、足元の印象は結構印象が変わります。
定番であり、ある意味で“没個性的”でもスタンスミスの靴ひもでちょっと遊んでみる。それも面白いですよ。
今回紹介するのは定番の4種
- 最もシンプルでドレス感のある「シングル」
- ドレス感がありつつ、ほどけにくい「パラレル」
- いわゆる一般的な通し方「オーバーラップ」
- よりスポーツシューズ向けな「アンダーラップ」
です。
勿論、新しい結び方に挑戦したい方や、「通し方、忘れた・・・」といった方もご覧いただければ幸いです。
ちなみに、パラレル結びに関しては、より詳細に解説した動画があるため(※私自身が好きな結び方なので)パラレルをマスターしたい方はコチラの動画をどうぞ。
↓ ↓ ↓
ほどけにくく、ドレス感UPな通し方「パラレル」
あとがき
以上、スタンスミスについて色々とふれてきました。
何か参考になることはありましたでしょうか?
サスティナブルという新たなステージに上った、不朽の名作スタンスミス。
今後どうなるのか、ぜひチェックしていきたいところです。
またこの先、、天然皮革モデルは更に入手しずらくなることが予想されます。
『どうしても天然皮革モデルが履きたい・・・!」という方は、メルカリやamazonなどなどで“発掘”して頂ければと思います。
『明治生まれの靴博士』編集部の玄木がお送りしました。
ではでは。
明治5年から150年近く“日本人の足のための靴づくり”を続けてきた、日本最古の紳士靴ブランド『大塚製靴』。