ファッションのカジュアル化や新型コロナ騒乱を受け、スーツが当たり前だったビジネススタイルも大きく変化してきました。
スーツとセットだった革靴も、履く機会(本来なら着用必須な機会)がどんどん減ることで、そもそも低くなかった革靴へのハードルが、更に上がってしまっているように感じる今日この頃です。。。
さて、そんな中、1964年の創業以来、日本の革靴づくりに貢献し続け、
「革靴初心者御用達」や
「革靴の登竜門」と呼ばれたりもするブランド
『スコッチグレイン』をご存知でしょうか。
名前から感じるイギリスっぽさ(スコットランドっぽさ)から、知らない人には「……外国のブランド?」と勘違いされることもあるのですが、れっきとした日本の革靴ブランドです。
今回の記事では、革靴初心者にこそ知ってほしいブランド「スコッチグレイン」に焦点を合わせまして、ブランドの特徴がおすすめ革靴などを紹介・解説していこうと思います。
「スコッチグレインってどんなブランド?」
「革靴買ってみようと思うんだけど悩んでいる」
「他の日本革靴ブランドと何が違うの」
といった疑問をお持ちの方のお手伝いができれば幸いです。
日本製ビジネススニーカー
創業149年を迎える日本の老舗ブランド『大塚製靴』の革靴スニーカーです。「柔らかいレザー選び」と「オリジナルラバーソール」「149年分のノウハウ」により、とにかく快適な歩き心地に仕上がっています。
細いシルエットなのにゆったり3E設計なのもポイント。
見た目は、写真の通り“内羽根ストレートチップそのもの”。快適な履き心地なのに、ソールの厚みも薄さをキープしているため、ビジネスシーンは勿論、冠婚葬祭でも大活躍してくれるぐらいドレッシーな一足に仕上がっていますよ。
価格:41,800円(税込み)
スコッチグレインとは?
では早速、スコッチグレインついて解説していきます。
“革靴の登竜門”と称される日本の革靴ブランド
『スコッチグレイン』は、1978年に設立された日本の革靴ブランドです。
ブランドを運営しているのは、1964年から靴づくりを続けている「ヒロカワ製靴」。
現在は自社ブランド(スコッチグレイン)の生産に集中していますが、ブランド立ち上げ以前は、他社のアパレルブランドからOEM受注を受けていた時期があり、そこで技術とノウハウを磨き上げていました。
展開している革靴の価格帯は27,000~66,000円。
アウトレット店では20,000円前後のモデルも販売しており、本格革靴としては「背伸びすれば手が届く価格」が設定されています。
そのため、初めての革靴を購入するときの候補ブランドとして、スコッチグレインの名前があがることがよくあります。
ブランド名「スコッチグレイン」は、レザーの名前に由来あり
ブランド名であるスコッチグレインの由来は、スコッチグレインレザーと呼ばれる素材にあります。
スコッチ[scotch(意味:スコットランドの~)]
グレイン[grain(意味:粒)]
——ということで、スコッチグレインレザーとは「スコットランド発祥の、表面に細かな麦模様がほどこされたレザー」を意味しています。
革靴王国であるイギリス。そのイギリス発祥の素材名をブランド名として掲げることで、「革素材はもちろん、糸の一本にいたるまで素材にこだわりたい」という創業者の想い・誓いを表しているのですね。
“本格革靴の登竜門”に相応しい「価格」と「サイズ展開」「履き心地」
日本製・本格製法・素材のこだわり。この3つが揃ってリーズナブルだから凄い
実は、「単に安い革靴」も「そこそこ品質の革靴」も、昨今は様々なブランドから生産されているため、何もスコッチグレインにこだわる理由はありません。
では何故、スコッチグレインが尚“本格革靴の登竜門”と呼ばれるのか。
それは、
- 本格革靴の製法(グッドイヤーウェルト)のみを、
- 日本の工場で生産していて、
- それでいてリーズナブル
だから。
価格の変動を抑えるため、社長自ら外国の一流タンナーから“まとめ買い”したり、最新鋭の機材を投入したりと、様々なアプローチを行っているのです。
昨今、“様々な革靴”が登場している中で、グッドイヤーウェルト製法を採用した本格革靴を、革靴初心者でも手が届く形で発信し続けている。
スコッチグレインとは、そんな革靴ブランドなのです。
他の日本の革靴ブランドとの特徴を比べてみる
あくまでも、ざっくりとですが「スコッチグレイン」と日本の有名革靴ブランドたちとを比べて見ると、こんな(↓)感じになります。
ブランド名 | 価格帯 | 製法 | 特徴・特色 |
---|---|---|---|
スコッチグレイン | 27,000 ~66,000円 |
グッドイヤーウェルト製法のみ | 本格革靴の登竜門(スコッチグレイン) |
リーガル | 24,000 ~42,000円 |
グッドイヤーウェルト製法など | 嗜好品よりも工業製品としての、合理的な靴づくり(リーガル) |
三陽山長 | 20,000 ~144,000円 |
グッドイヤーウェルト製法など | 品質本位の高級革靴路線(三陽山長) |
大塚製靴 | 27,000 ~250,000円 |
グッドイヤーウェルト製法など | 150年近く日本人の足を追及してきた歴史・ノウハウ(大塚製靴) |
表の通りですが、スコッチグレインが何となく近いのは「リーガル」です。
展開している革靴の価格帯もほぼ同じなこともあって「スコッチグレインvsリーガル」なんて比べられることもありますね。
グットイヤーウェルトの足幅4Eまでカバーする、豊富なサイズ展開
スコッチグレインは、非常に幅広いサイズを展開していることでも有名です。
具体的には足長は0.5cm刻み。そして足幅は1E~4Eまでの4種類。
特に、グッドイヤーウェルト製法を採用した本格革靴で「4Eサイズ」を用意しているのは、非常に珍しく、人によっては「スコッチグレインが最後の砦」になることも珍しくないそうです。
日本人の足の形だけでなく、歩行癖まで見越した設計
「ラスト」と呼ばれる、靴の形を決定づける木型模型。スコッチグレインは、このラストにもこだわっています。
日本人の足にフィットするのは勿論のこととして、日本人の歩行の癖までも研究しながら、「歩きやすい形状」として昇華。
かかとで着地して、体重(重心)が移動して、つま先の親指で蹴る……いう歩行動作が自然にできるようになっているのです。
ちなみに、歩行の快適性を追求した独自の形状を採用していることもあり、履き下ろし前に「グラグラする座りの悪さ」を感じる方もいるようですが、これは相性が悪いワケではないとされています。
スコッチグレインのオススメ革靴6選
ここからはスコッチグレインのオススメ革靴を紹介していきます。
実際に、購入するときの参考にしていただければ幸いです。
※価格などの情報は2022年4月時点のものであることを、予めご了承くださいませ。
素材を無駄なく使いきるため「期間限定」エコ系・万能ストレートチップ
※B品というワケではありません。
万能の内羽根ストレートチップなので、ビジネスから冠婚葬祭まで怖いものなし。
グッドイヤーウェルト製法を採用した本格革靴としては破格なので、期間限定ではありますが、初めての本格革靴の第一歩としてピッタリといえますね。
【幅広タイプの足でも安心】なかなか珍しい4E設計のグッドイヤーウェルテッド内羽根ストレートチップ
グッドイヤーウェルト製法を用いた本革革靴の4E靴(=高価格帯の4E靴)は、なかなかレアなので、人によっては非常に重宝するのがこの1足。
幅広な自分の足に“ちゃんとフィット”してくれる、革靴を求めている方にはピッタリといえます。
履きやすさとデザインを楽しめる、お洒落なローファー(怠け者)
つま先に(トゥ部分に)ウィングチップを採用することで、非常に豊かな表情に仕上がっているのが最大の特徴。
付属しているタッセルを付けることで、タッセルローファーとして楽しむことも出来ますよ。
「傷や虫食いが多いレザー素材を無駄にしないため」という想いから誕生したアウトレット限定シリーズの一足
ある種、継ぎ目なしの1枚革で仕立てるホールカットデザインの対極にあるデザインで、クモの巣状のカッティングが実に個性的です。
自然素材の風合いを楽しみたい方にオススメなカジュアル革靴
自然素材のみで鞣(なめ)したベジタブルタンニンレザーなので、ナチュラルな素材感が特徴。
また、「ブラックブリックソール」と名付けられたオリジナルソールは、コルクチップを混ぜて作られるために、軽量性と屈曲性に優れています。
休日コーデの足元に、ほどよく肩の力を抜いた革靴を合わせたいときの選択肢として、是非。
スコッチグレインの最高峰は、他でもない、この一足。
透明感あるアッパーレザーは、革本来の美しさを引き立てるよう染め上げられたヨーロッパ産。
ソールも高級革靴らしく、レザーソールを採用しています。
革靴の登竜門ことスコッチグレインによる、最高峰をお求めの方は、是非チェックしてみてくださいね。
▼紹介した革靴のレビュー
スコッチ最高峰のプレステージを購入しました。
5.0
子供の結婚式に履きたくて、スコッチ最高峰のプレステージを購入しました。インペリアルブラック、オデッサ、大塚M5等を所有していますが、最高の黒ストです。この靴を履いて子供の結婚式に臨みます。二度とないことですが自分の結婚式があるなら絶対にこの靴を履きたいです。今後の人生をともに生きたいと思わせてくれるインペリアルプレステージに感謝したいと思います。最高の靴に巡り会いました。引用元:公式通販サイト
あとがき
以上、スコッチグレインについて解説・紹介してきました。
手掛けるプロダクト全てがグッドイヤーウェルトという数少ないブランド。いわゆる「本格革靴」に興味がある方は是非、チェックしてみて下さいね。
『明治生まれの靴博士』編集部、玄木がお送りしました。
ではまた。
明治5年から150年近く“日本人の足のための靴づくり”を続けてきた、日本最古の紳士靴ブランド『大塚製靴』。