2024年に創業90周年を迎える英国王室御用達ブランド『ETTINGER(エッティンガー)』。
そんなアニバーサリーイヤーを記念する新作が発表されるとのことで、展示会にお招きいただいたので取材してきました。
今回は本国CEOのロバート・エッティンガー氏も来日。新作に込めた想いを直接聞くことができました。
「すべての製品にストーリーがある——。」
そう語るロバート氏の表情は、世界中に販路を広げる英国御用達ブランドのCEOというよりも、モノづくりを愛する職人のものでした。
この記事では、今回発表された創業90周年の新作を製作の背景とともにご紹介していきます。
エッティンガーの歴史にも触れつつ解説していきますので、
「そもそもエッティンガーってどんなブランド?」
という方も、きっと5分後にはエッティンガーのお財布を探し始めていることかと思います!
「創業90周年の新作をはやく知りたい!」
と気になる方は先にこちらからどうぞ。
英国紳士が愛するブランド『エッティンガー』
まずは、創業からの歴史とともに『エッティンガー』について解説していきます。
ルーツは「英国軍の縫製職人」。エッティンガーの歴史
『エッティンガー』が創業したのは1934年のこと。現在の代表ロバート・エッティンガー氏(Robert Ettinger)の父であるゲィリー・エッティンガー氏(Gerry Ettinger)によって設立されました。
エッティンガー家は代々「英国軍の縫製職人」の家系。
そんな歴史もあり、エッティンガーの仕立てる製品の仕立ての良さが評価され1996年に、チャールズ皇太子より英国王室御用達を拝命。今もなお、エッティンガーの製品にはロイヤルワラントの紋章が刻まれています。
ちなみに、英国王室御用達は5年に一度、精査されます。1996年から現在に至るまでロイヤルワラントの紋章を掲げることができるのは、安定した高品質な製品を作れている、という証明でもあるのです。
歴史を変えた「バイカラー」
エッティンガーといえば、内装の鮮やかなカラーリング。
「財布といえばダークトーン1色」だった創業当時、この色使いが洒落者たちの間で話題に。紳士の嗜みとして一気に人気ブランドとなりました。
当初はイエロータン、王室御用達を拝命し、「ロイヤルパープル」の使用許可を得てからは紫の内装も主力の人気カラーとなりました。
英国御三家で唯一の“王室御用達”
日本で人気の英国ブランドといえば「エッティンガー」「グレンロイヤル」「ホワイトハウスコックス」。セレクトショップでよく見る顔ぶれですね。
そんな“英国御三家”の中で唯一、ロイヤルワラントを拝命しているのがエッティンガーです。
英国王室御用達を認定できるのは、エリザベス女王・エディンバラ公・チャールズ新国王の3名。エリザベス女王が崩御され、記事執筆時点では2名となっています。
質実剛健を体現する「ブライドルレザー」
エッティンガーといえば、外装にブライドルレザー、内装にパネルハイドのコンビネーション。
実はこれ、馬具をルーツにもつからこそ生まれた組み合わせです。
鞍と同様に、耐久性が求められる外装にはブライドルレザーを、内側には柔らかいパネルハイドを配置したんだそうです。
創業90周年を記念するコレクション
さてここからはいよいよ、今回発表された新作の中でも特に話題となりそうなアイテムをご紹介していきます。
いずれも2024年春にデビュー予定とのことです。
- “90枚”収納できる名刺入れ
- 「エアタグ」ホルダー付きパスポートケース
そのほかにも、展示会の中でひときわ目を引いていた財布以外の革小物も紹介していきます。
“90周年”記念で“90枚”収納できる名刺入れ
90周年にちなんで作られた、90枚収納できる名刺入れが今回のキーモデル。
なんともユーモアのあるアイデアですが、王室御用達の一級品な仕立てなだけあり違和感を感じさせないのはさすがです。
エアタグホルダー/ホルダー付きパスポートケース
エッティンガーといえば、老舗ながらも時代に合わせた商品展開も魅力のひとつ。
今回のこのAirtagホルダーは特に目をひくアイテムでした。
このアイテムはロバート氏自身の経験がきっかけで誕生したそう。
——旅行の最中、パスポートがないことに気づいてね。しばらくして「さっきホテルのラウンジで荷物を預けた時にカウンターに置いてきてしまった!」と思い出して、無事手元には戻ってきたんだけど、とても焦ったよ。
その時、エアタグと一緒にしておけたら便利だと考えたのがこれを作ったきっかけなんだ。
と話してくれました。ユーザー視点に立ったものづくりが浸透していることが永く支持されている理由なのだなと感じました。
アウトバウンドが回復してきたこのタイミングというのもさすがといったところ。
小物にもレザーを。それこそ紳士の嗜み。
こちらはレザーを使った小物たち。
奥から、腕時計ケース、マグボトル、スキットルと、なんともクラシカルで心惹かれるラインナップ。
そして一番意外性があったのは手前のピルケース。
誕生のストーリーをロバート氏が語ってくれました。
——あれは友人とレストランに行った時のこと。使っていたピルケースがプラスチック製だったんだ。確かに世の中にあるものはプラスチック製がほとんど。それならエッティンガーで作ればいいと考えたのがきっかけだよ。
(筆者)確かに自分の祖父もプラスチック製を使ってます。贈ったら喜んでもらえそう。
——ピルケースというとそのイメージがあるけど、実は若い人にも人気なんだ。健康のためにサプリメントを飲んだりする人が多いんだよ。
とのことでした。これのためにサプリを飲み始めようかと思うくらい、魅力的で完成度の高い1品でした。
あとがき
今回は、エッティンガーの2024年新作について、歴史にも触れつつご紹介しました。
みなさん気になるものはありましたでしょうか?
ここまで『明治生まれの靴博士』編集部の岡田がお送りしました。
それではまたどこかで。