皆さん、こんにちは。
『明治生まれの靴博士』編集部の大山です。
今回は、カジュアルシューズの開拓者である英国ブランド、
『クラークス(Clarks)』を紹介していこうと思います。
昨今、全身コーデのドレス感を引き締めるために、足元に“ほどよいドレス感のカジュアルシューズ”を合わせるという考え方は定番になってきました。
そんなときに、「スニーカーほどカジュアルではないし、本格革靴ほど厳格ドレスでもないタイプの1足」が、非常に重宝するわけですが、そんないわゆる“ちょっとドレスなカジュアル靴”を生み出したのが、他でもないクラークスなのです。
この記事では「クラークスというブランド」や「クラークスのおすすめモデル」について解説していきます。
「カジュアルシューズを探していると良く見るブランド名だけど、どんな特徴があるの?」
「クラークスのおすすめモデルは?」
カジュアルシューズブランドの祖である「クラークス」について、そんな疑問をお持ちの方のお手伝いができれば幸いです。
では、始めていきましょう!
クラークス(Clarks)とは?
「クラークス」とは、1825年のイングランドで始まった靴ブランドです。
現存する英国靴ブランドとしては“かなりの古参”で、主に“履き心地に注力した靴”を発信しています。
ほかにも、ブランドとしては
- カジュアルシューズというジャンルの確立
- 靴ミシンやソールカット機械の開発
などなど、靴の歴史に大きく貢献してきた歴史をもっています。
1つ1つ解説していきますね。
ブランド哲学は「靴は足を包むもの」
クラークスとは、どんなブランドなのか。
それは公式ページに記されている「ブランドとしての哲学」を読めば一目瞭然です。
クラークスの哲学は、「靴は足を包むもの」。
190年以上、靴づくりを続けている英国のブランド……という歴史と肩書を背負っているクラークスですが、公式サイトの商品ラインナップを見ると、いわゆる英国革靴っぽい「ガッチリ」「重厚」「厳格フォーマル」といった印象は控えめであることを解ってもらえると思います。
クラークスが大切にするのは「履き心地のよさ」であり「足を包んでいる感」。
そのスタイルは、クレープソール採用や、インソールへのこだわりなどで形になっているわけです。
“珍しいスリッパ”から始まった、イングランドの靴ブランド
ちなみにクラークスの始まりは、2人の創設者・クラーク兄弟が作った「ボアのついた羊革のスリッパ」でした。
サンプル第一号は、思いついたアイディアを町の靴職人に形にしてもらったとされていますが、その履き心地の良さは大評判となり、本格的にスリッパ製造に踏み切ったことでクラークスというブランドの歴史が始まったわけです。
全てはこの2人がスリッパの製造会社を作ったことから始まったのです。
この「羊毛がついた革をスリッパにしたら、履き心地いいだろうな」という“履き心地への想い・こだわり”は現在のクラークスの土台として受け継がれているように思います。
クラークスは英国のブランドですが、「無骨さ」や「靴とは足を守るためのもの」「歩くためのギア」といった厳かな英国革靴らしさが、良い意味で薄いように感じるのは、そのためかもしれませんね。
“カジュアルシューズ”というジャンルの、生みの親
カジュアルシューズというジャンルを確立させたと言われるクラークスですが、その立役者が1950年に誕生した「デザートブーツ」。
このカジュアルシューズは、当時のブランド当主であるネーサン・クラークが、第二次世界大戦従軍中に目にした靴をアイディアソースにして開発したものです。
今日、「休日コーデで活躍するカジュアルな一足」や「足元を少し引き締めるドレカジな靴」といった、いわゆる“カジュアルとドレスのバランスをとった靴”は、当然のように出回っていますが、その価値観の原点がコレ(↑)。
1950年当時は、技術も概念も黎明期だったため、靴の選択肢は非常に両極端でした。
具体的には、軍人が持っているのは「軍靴 or サンダル」で、一般の人たちが持っているのは「ドレスシューズ or 仕事靴」という具合。その中間的な存在がなかったのですね。
そこに登場したのが、クラークスの「デザートブーツ」。
新しい概念だったこともあってか、当初はイギリス本国では受け入れられず、アメリカで大ヒットした後逆輸入的にイギリスで受け入れられたと言われています。イギリスらしさとアメリカらしさに溢れる話ではあります。
ちなみに、デザートブーツが日本に上陸したのは1964年のことでした。
靴ミシンやソールカット機械の開発など、“靴の歴史”に大きく貢献
カジュアルシューズを生み出しただけでも大きな功績を打ち立てているクラークスですが、他にも
- アッパーとソールを縫い合わせるミシンの開発
- ソールのカットマシンの開発
など靴製造の歴史に重要な革新をもたらしてきました。本当の意味での手作業が当たり前だった当時の生産スタイルに、機械(もしくは自動化)を導入するというのは、さぞや画期的だったことだろうと思います。
現在のクラークスを語る上で知っておきたい「クレープソール」
クラークスの靴を探していると、
「クレープソール」なるものが頻繁に登場すると思います。
この「クレープソール」についても少し解説していきます。
ぶっちゃけデメリットが多いけど、ロマンに溢れる天然ゴム製ソール
クレープソール〔英語:Crepe sole〕とは、ゴムの木から採取できる樹液を固めた「天然ゴム素材の靴底」のことです。
非常に古い製法に分類される靴底で、主にカジュアルシューズの靴底に採用されます。
天然素材らしい、“ふわっ”とした優しい柔らかさに優れる一方で、天然素材であるがゆえの「人間にとっての都合の悪さ」も持ち合わせています。
メリットの数とデメリットの数を単純に比べると、デメリットの方が多いのですが、それを解った上で「クレープソールの履き心地は、代えがたい」という愛用者がいるような、ロマン溢れる靴底です。
クレープソールのメリット一覧
- “ふわっ”とした柔らかい履き心地
- 弾力性もあるので歩きやすく、疲れにくい
- 無着色でも優しいベージュ色になる
クレープソールのデメリット一覧
- 極端な温度でパフォーマンスが落ちる(夏場のアスファルトでは溶け、冬場は硬くなりやすい。)
- 天然素材であるが故に、柔らかさの賞味期限は長くない(半年ぐらい)
- 濡れた地面ではトコトン滑る
- ガソリンなどの石油系溶剤で溶けるのでガソリンスタンドでは注意
- ゴミやホコリがつきやすい
クラークスの定番&オススメ靴6選
ここからはクラークスの定番といえるカジュアルシューズを6足紹介していきます。
実際に購入するときの参考にしてみてくださいね。
※掲載している価格などの情報は、2021年12月1日時点でのものとなります。
“クラークスの象徴”にして、“カジュアルシューズ”の原点
幅広いコーディネートに合わせやすいデザインに、柔らかいクッション性を約束するクレープソール。まさに、クラークスの象徴と言っても過言ではありません。
昔ながらの木型(=靴黎明期の技術)を採用していることもあってか、ソールが比較的真っすぐになっているというデザインの特徴があります。この点は、もしかすると好き嫌いが分かれる部分かもしれませんね。シュッと真っすぐな横顔シルエットが苦手な場合は、この後紹介する「デザートブーツ221」の方もチェックしてみてくださいね。
▼紹介した靴のレビュー
歴史に名を刻む原点にして不変的名靴
5.0
砂漠用のブーツにインスピレーションを得て作られたこのデザートブーツは、クラークスの独自性が凝縮された逸品であり、世界で2000万足以上を販売している。
アッパーのスウェードは英国の名タンナーであるF.C.ステッド社から供給しており、サンドスウェードはクラークスだけのエクスクルーシブカラー。
クレープソールは樹脂をシート状に固めた後に寝かせて磨耗性を高め、さらに弾力性に富むのが特徴。
引用元:楽天市場
お買得です。
5.0
10代に英国製オリジナルを購入してから、これまで3足を履きつぶし、今回4足目も安価に購入できました。アッパーに傷がありましたが、ショップスタッフの方には柔軟かつ丁寧に対応していただき、交換となりました。靴そのものは間違いなく汎用性の高いものです。自身を持ってお勧めできますし、ワタシ自身5足、6足と履いていくと思います。
引用元:楽天市場
ソールの耐久性やグリップ力を、現代アップデート!
オリジナルのデザートブーツが220番の木型(靴の形を決める模型)を採用しており、今回のモデルでは221番の木型を採用していることからデザートブーツ221と名付けられています。
オリジナルよりも少し幅広の木型を採用しているため、より多様的な足の方を許容できるようになったのが最大の特徴。足幅が少し心配な人は、こちらのモデルを試してみるのもいいかもしれませんよ。
クレープソールを採用しているのはオリジナルと同じなのですが、221はオリジナルよりも少し肉厚で、かつソールが曲線を描いている特徴があります(この点は、オリジナルが真っすぐすぎるとも言えます)。
デザインの面で視てもオリジナルとは住み分けができているので、ぜひ、より理想に近い一足を選んでもらえればと思います。
デザートブーツ70周年目に誕生した進化モデル
1つ前で紹介した「デザートブーツ221」と何が違うのかと言うと、デザートブーツ2は耐久性と濡れ道でのグリップ力を高めた「ラバーソール」を採用しているのが最大の相違点です。
勿論、ラバーソール単体ではクレープソールの柔らかさには及ばないのですが、そこに「オーソライト®インソール」や「クッションプラス」などスニーカーに採用されるような技術を投入することで履き心地の良さをキープ。現代の技術をもって、ロマンと実利のバランスを追及する、まさに「令和のデザートブーツ」と言えますね。
クラークスの哲学『靴は足を包むもの』を形にした定番モデル
「ワラビー」という名前は、お腹に袋がある有袋類ワラビー(小さい種類のカンガルー)にちなんで命名されたもの。
ワラビーが子供をお腹の袋に入れて過ごすように、革が足を包みこむように作られたデザインは、『靴は足を包むもの』というクラークスの哲学を形にしたものと言えるでしょう。
そんなときは、オールブラックモデルを選べば、ドレカジスタイルにもマッチしてくれますよ。
▼紹介した靴のレビュー
スタイルを選ばないデザインと高品質
5.0
ジーンズ、チノパンなど、どんなスタイルにも合うデザインなのでとても重宝しています。ローカットなので脱ぎ履きしやすく、ワラビーの名の通り、包み込むような履き心地はとても良いです。
写真以上に重厚感があり、サンドスェードの質感も想像以上に良いです。革はどちらかといえば重厚で、作りもしっかりしています。
引用元:楽天市場
定番「ワラビー」を現代テクノロジーでアップデート!
デザートブーツに高耐久&高グリップ版を求めたことで「デザートブーツ2」が生まれたように、ワラビーもラバーソールやインソールを採用することで、耐久性と快適性を両立した「ワラビー2」に進化しています。
▼紹介した靴のレビュー
在庫です
5.0
クラークス、ワラビー2は最高です。 ワラビーの唯一の欠点とも言えたソールの耐久性を見事に改善しています。 普段スニーカー30cm、今回は29cmでジャストサイズでした。引用元:公式通販サイト
すごく良い!!
5.0
プレゼントに購入させて頂きました。 いつも26.5を履いてるので26.5を購入させて頂きましたがサイズ感的には27〜27.5くらいの大きさなので購入なさるならサイズはワンサイズ下げて頼んだ方が良いです。作りも形も色も全て申し分ないくらい素敵な商品です。 また違うクラークスをプレゼントしたいと思います。引用元:公式通販サイト
余り革を無駄にしない“エコ精神”から生まれた一足
実は、ワラビーを作った後の“あまり革”を無駄にしないために生まれたため、1つ1つのパーツが細長い特徴があります。
▼紹介した靴のレビュー
春夏の通勤用として大活躍
4.0
夏の通勤靴として購入しました
何より驚いたのが、クッション性です
デザートブーツとは一段違う柔らかい履き心地は最高です
ただ履き込んでくると、革が弱いのか横に広がってしまうのが残念
シューツリーで手入れはしているのですが、なかなか新品のようなシルエットを保つ事は難しいですね
着る服を選ばない汎用性は、履き心地に並ぶこの靴のもう一つの長所ですね引用元:公式通販サイト
カジュアルにもドレスダウンにも使えます
5.0
もう何年も同じナタリーを買い続け、4代目の購入になります。
ソールが真夏のアスファルトで溶けたり、基本的に修理をして履く靴ではないのですが、そういうデメリットを考慮してもこれに代わる靴はないと思っています。
引用元:公式通販サイト
あとがき
以上、「カジュアルシューズの開拓者クラークス」と「クラークスのオススメ定番モデル」を紹介・解説しました。
参考になりましたでしょうか?
ほどよいドレス感の1足や「履き心地の良さ」など、今まさに現代で求められている価値観を100年以上前から追及しているクラークスのカジュアルシューズ。ぜひ、みなさんの理想に近い1足を見つけ出してくださいね。
『明治生まれの靴博士』編集部、玄木がお送りしました。
ではでは。
明治5年から150年近く“日本人の足のための靴づくり”を続けてきた、日本最古の紳士靴ブランド『大塚製靴』。